同族法人は社会保険に加入すべきか?

 法人を設立しますと、原則として厚生年金と政府管掌の健康保険に加入することになっています。
 個人事業の場合は5人以上の従業員がいる場合にのみ強制加入することになっているですが、法人の場合には1人でも従業員がいれば加入しなければなりません。 この場合の従業員には社長も含まれますので、法人であれば全て加入しなければならないのです。
 
 ところで、こういった社会保険に加入しますと当然ながら厚生年金保険料と健康保険料を社会保険事務所に支払うことになりますが、支払うのは個人負担分だけではありません。会社負担分も支払わなければならないのです。
 会社負担分も個人負担分と同額ですから、要するに個人負担分の2倍を支払う必要があるのです。
 これでは法人を設立するメリットが半減してしまいます。でも、ご心配には及びません。以上はあくまで原則です。例外があるのです。実務上の取り扱いとして従業員が15名未満の場合は強制適用になっていないのです。
 ただし、今年度は10名以上であれば加入を強制するそうです。いずれ、それ以下の場合にも適用になるかも知れませんが、恐らく5名未満にまで強制することはないのではないかというのが私のヨミです(外れても文句は言わないで下さいね)。
 今年の税制改正で役員給与の損金算入が部分的に制限されました(詳しい内容はいずれまとめます)。
 小泉さんは非常に評価しているのですが、このようなセコイ改正はいただけません。国がセコイ政策で来るなら、こちらもセコクやっていこうではありませんか。

※ 社長は雇用保険に入れませんよ!
 会社を経営したことがないと意外と気づかないのですが、社長とか、その奥さんは雇用保険に入れません。経営者というのは失業することはないと考えているのでしょうか? 本当は一番、失業の可能性がありそうですが・・・。 

2006-08-18 16:46:20

アパート経営での手取り収入は途中で大きく変動します

アパート経営というと、「家賃収入から借入金を返済したり、固定資産税等の諸経費を支払うだけだから手取り収入はそれほど変動することはない。」と考える人が多いと思いますが、実際は違うのです。
その大きな理由は2つあります。
その1つが借入金の返済です。借入金の返済方法には元利均等返済方式と元金均等返済方式の2種類がありますが、いずれの場合も所定の期間(返済期間)で徐々に返済していくことになります。
そして当然ですが、返済期間が終了すれば完済ということで以降は全く返済の義務は無くなるのです。また、その時点で抵当権もはずされ以降キレイなカラダ(土地、建物)になるという具合です。
「なんだ、そんなことか、馬鹿にするんじゃない!」と怒られそうですが、事実なのですから仕方ありません。
手取り収入というのは収入金額から借入金返済額、固定資産税等の各種経費、所得税等の税金を差し引いたものですが、借入金の返済があるかないかで雲泥の差が生じます。
アパート経営の楽しみの1つは、ある意味、この完済時期を迎えることにあるような気がします。できればお赤飯でも炊いて食べましょう。
古いアパートというとあまり儲かっていない印象がありますが、実際はそうではないのです。人間だって、金持ちのお年寄りは外見は質素なものです。
手取り収入が大きく変動するもう1つの理由は所得税です。所得税というのは不動産所得に課税されるわけですが、この不動産所得というのは家賃等の収入金額から減価償却費、支払利息、固定資産税等の諸経費を差し引いて求めます。
このうち、注目していただきたいのが減価償却費と支払利息です。
まず、減価償却費ですが、現在、建物本体については定額法しか認められておりません。したがって、建物にかかる減価償却費は毎期同額です。しかしながら、この減価償却費も耐用年数が過ぎればゼロとなります(木造は22年)。
また、附属設備とか構築物(駐車場、門など)は現在でも定率法を採用できますし、これらの耐用年数は平均15年程度ですから、比較的早い段階で償却が終了してしまうのです。
次に支払利息ですが、支払利息というのはその時点の借入金残高に利率を掛けて求めますので、最初多くて徐々に減少していきます。これは元利均等返済方式、元金均等返済方式のいずれであっても同じです。
そして、当然ながら返済が終了しますとゼロとなるわけです。
ここで、皆様方にご注意いただきたいのは元利均等返済方式の場合の返済終了間際の返済額の内訳です。
返済終了間際というのは借入金残高が少ないので当然ながら支払利息はほとんどありません。「支払利息が少ないということはありがたいことです。」なんて、馬鹿なことを考えないで下さいね。元利均等返済方式というのは返済額が毎回同じなのです。
つまり、支払利息が少ないということは逆に元金返済額が多いということです。ご承知のように元金返済額はお金は出て行くけれども経費にはなりません(減価償却費の全く逆です)。最悪なのです(国鉄とか民間でもよく債務切捨てというのがありますが、最悪なものが切り捨てられるのですから、楽になるハズです)。
少し長くなりましたので、そろそろまとめたいのですが、要するに返済終了間際というのはお金は出て行くけれども経費として認められるものは僅かでしかないということです。その結果、不動産所得が増え、それ以上に所得税が増えていくのです。
以上で、手取り収入がアパート経営の途中で大きく変動するという理由が何となくお分かりになったのではないでしょうか?
手取り収入というのは、それで生活するわけですから非常に大切なものです。これが大きく変動するとなるとどうなるのでしょうか?
皆様方がアドバイスする側の人間だとして、いったいどのような解決策が考えられますか? 一度じっくりと考えてみて下さい。
2006-08-11 10:38:10